遺言書で聞く遺留分とは? 相続分ではありません。

遺言書

遺言書は必ずしも必要ではありません。
遺言書はなぜ作成するのでしょうか。
遺言書の中身を実現させるため、想いを残すために作成をします。

 

また、トラブルや残された人のためにも内容を考えて作成することになります。
いくつかのケースでは遺言書を残すことをお勧めすることがあります。
法定相続分と遺留分を検討する必要があります。

 

なぜ子供がいない場合に遺言書を書いた方が良いのか

仮のケースで検討しましょう。

<遺言書がない場合>

ご本人が1200万円を残してお亡くなりになった場合で
遺言書を作成していない場合には、
相続人法定相続分
・子供900万円 (全体の2/3)
・兄弟300万円 (全体の1/3)
このような配分で財産が分配されることになります。

 

 

 

<遺言書で子供に全額を残したい場合>

遺言書の指定内容により、
相続人相続分
・子供1200万円 
・兄弟0円 
とすることも可能です。

子供が何人もいるケースではなく他に登場人物がいない前提ではありますが、このような遺言書は現実的となります。

 

法定相続分と遺留分
ここら辺の話で関心を持たれている方は「法定相続分」と「遺留分」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
簡単に説明すると、法定相続分とは遺言書等がない場合に相続人が受け取ることのできるの割合のことを言います。
遺留分とは相続人となる人が最低限受け取ることのできる割合のことを言います。この遺留分はその権利のある人から請求しなければ、受け取ることができません。

どちらも民法という法律に定められており、金額ではなく財産全体にかかる割合として決められています。

(遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

 

兄弟姉妹の遺留分は?
ご本人の兄弟や姉妹には遺留分はありません。また、兄弟姉妹の子供たちにも遺留分はありません。
遺留分がある人は基本的にはご本人の子供と配偶者になります。
そしてケースによってはご本人の親御さんに遺留分があります。

 

<遺留分の割合>
相続人が以下の人となる場合遺留分の割合
配偶者しかいない場合全体財産の1/2
子供しかいない場合全体財産の1/2
配偶者と子供がいる場合子供は1/4  配偶者は1/4
配偶者と親御さんだけの場合(子供はいない)配偶者は1/3  親御さんは1/6
親御さんしかいない場合(子供も配偶者もいない)全体財産の1/3
上記はあくまでも法定相続分の割合ではなく、遺留分の割合となります。

 

 

遺留分は必ず主張されるのか
必ずしも「遺留分」を主張されて、金額等を請求されるわけではありません。
遺留分の権利がある人を「遺留分権利者」と言いますが、遺留分権利者からの遺留分侵害請求権(遺留分減殺請求権)を行使されるかは、ご本人との関係や金額の大小などによって変わります。

遺留分を侵害してしまう(遺留分を主張されうる)ような遺言書を残してしまうと後々に揉め事となることが想定できます。

遺言書を残す場合には必ず「遺留分」に配慮して作成をしてください。